最近すっかり全国的な知名度を誇る「名古屋めし」。
味噌かつや、味噌煮込みうどん、手羽先、小倉トーストなど、有名な名古屋めしは最近全国展開している店もあり、名古屋でなくても食べたことがある人もいるのではないでしょうか。
でも、さつま芋が載った蒸しパンのような「鬼まんじゅう」や、鉄板にスパゲティがこんもり載った「鉄板スパ」など、実は全国的にはそこまで知られていない「名古屋めし」がまだまだあるんです!
そこで今回は名古屋在住で名古屋の文化やグルメに詳しいライターの「大竹敏之」さんに発祥の秘密やオススメ店をご紹介してもらいました!
これを読めば定番はもちろん、 知る人ぞ知る名古屋めしの名店がばっちり分かりますよ!!!
記事配信:じゃらんニュース
ナビゲーターはこの人!
フリーライター:大竹敏之さん
『東海じゃらん』創刊当初からのレギュラーライター。最新刊『名古屋の喫茶店完全版』はじめ『名古屋めし』『なごやじまん』『東海の和菓子名店』など名古屋の食や文化に関する著作多数。
【名古屋めしとは?】
名古屋を中心とする主に愛知県で地域限定的に親しまれているご当地グルメの総称。名古屋発祥でなくても、名古屋で特に名物として浸透しているものも含んでいます(ういろう、天むす、エビフライなど)。
全般的に“味(=うまみ)が濃い”のが特徴で、何度か食すとクセになる魅力を持っています。めん類、ガッツリ系、酒の肴、おやつなど種類が多いのも大きな魅力で、食べ歩きの楽しさは無限大!
名古屋市による他県在住者を対象にした調査では、「名古屋に来たら体験したいこと」の1位に「名古屋めしを食べたい」が輝き、今や堂々たる旅の目的になっています。
それでは早速、名古屋めしの由来&名店をご紹介していきます!
味噌煮込みうどん

ぐつぐつと湯気が立ちのぼり、目の前に運ばれてきた瞬間に気持ちが温かくなる味噌煮込みうどん。
名古屋やその周辺エリアでなら、ほとんどのうどん店で食べることができ、また家庭で食べる機会も多いご当地麺です。
この味噌煮込み、
一般的なうどんとは麺の打ち方が異なることをご存じでしょうか?煮込み用の麺は、塩水ではなく真水でこねて打つのです。
「ほうとうや、すいとんがルーツと言われ、小麦を水でこねてはちぎって鍋に放り込んでいたと考えられます。普通のうどんは麺を鍋でゆでてからつゆと合わせますが、味噌煮込みは調理器具の土鍋がそのまま器になるため、つゆがしょっぱくならないよう塩抜き麺を使うのです」とは山本屋本店の永田剛典さん。
芯が残ったような独特の噛みごたえもこの麺だからこその特徴だと言います。
また、土鍋で煮込む調理法は豆味噌だからできること。普通の味噌は煮立たせるとえぐみが出てしまいますが、長期熟成で品質が安定している豆味噌はその限りではありません。
地域固有の伝統的調味料が他にはない麺料理を生んだのです。

さて、“味噌煮込み=太くて硬い麺”が常識だと思われていますが、中には平打ち麺や細麺を使うところもあります。
「祖父の代から細麺です。芯まで火が通って汁とよくなじむんです」とは1926年創業の角丸の3代目、日比野宏紀さん。
麺はうどんとそうめんの中間くらいの細さでするするとすすれます。数種の味噌をブレンドするつゆも優しい味わいで、最後まで飲みほせます。
この地域限定で、かつ店ごとの個性もある味噌煮込み。体の芯から温まる一杯を、いろいろな店で楽しみたいものです。
★味噌煮込みうどん・オススメのお店★
「山本屋本店 栄本町通店」の『味噌煮込うどん(1058円)』(写真1枚目)
4㎜角の手打ち麺が濃厚な味噌つゆを吸ってさらに膨らみます。ランチタイムはごはん・漬物付きで950円とお得ですよ。
「みそ煮込の角丸」の『みそ煮込うどん(800円)』(写真2枚目)
ご近所の常連から遠来の旅行者にまで愛される老舗店です。手打ちにこだわる3代目は「愛知の名工」にも輝く名人です。
■山本屋本店 栄本町通店
[TEL]052-201-4082
[住所]名古屋市中区栄2-14-5
[営業時間]11時~翌3時(LO翌2時30分)
[定休日]なし
[アクセス]地下鉄栄駅より徒歩7分
[駐車場]なし
「山本屋本店 栄本町通店」の詳細はこちら<br/ >
■みそ煮込の角丸
[TEL]052-971-2068
[住所]名古屋市東区泉1-18-33
[営業時間]11時~19時30分(土~14時)
[定休日]日祝
[アクセス]地下鉄久屋大通駅より徒歩3分
[駐車場]なし
「みそ煮込の角丸」の詳細はこちら
味噌かつ

味噌がたっぷり。意外なかけ合わせの妙。食べごたえがあって庶民的。こんな名古屋めしらしさをもれなく兼ね備えているのが味噌かつです。
発祥は戦後間もなくと伝えられます。当時、屋台の定番だったのが味噌でモツを煮込むどて鍋。
この鍋に、あるお客さんが串かつをどぼんとつけてほおばりました。すると
甘辛い味噌が衣を包み、えも言われぬおいしさが!これぞ味噌かつ誕生の瞬間でした。
味噌をそのままかけるの?と誤解されがちですが、
かけるのは東海地方特有の豆味噌にダシや調味料を加えた味噌だれ。これが店々の個性、魅力となります。
全国各地、さらには海外にまで出店する味噌かつの代名詞ともいうべき「矢場とん」は、この味噌だれがさらっとしているのが特徴。おかげでいかにも濃い口に見えながら食べ口はさっぱりしています。
味噌は蔵元に特別に仕込んでもらっているオリジナルを使用し、豚スジのダシを加えているとのこと。
さらりとしながらしっかりしたコクがあるのは、こんなこだわりがあるからこそなのです。

一般的にはどろっとしたたれを使う店が主流。中でも「とん八」は、ぷるぷるとつややかなとろみの強い味噌だれがインパクト抜群です。
「片栗粉ではなくコーンスターチ(とうもろこしが原料のでんぷん)でとろみをつけるので、見た目とは違って重たくないんですよ」とご主人の長谷川民夫さん。味噌だれはかつを覆いつくすほどた~っぷり。味噌を食べてる!という充実感を得られます。
さらっと系は衣に味噌がしみ込んで味わいが行きわたり、どろっと系は味噌らしさを堪能できる。それぞれの店の自慢の味噌だれを食べ比べしてみてください。
★味噌かつ・オススメのお店★
「矢場とん」の『わらじとんかつ(1296円)』(写真1枚目)
肉だけで200gあるビッグサイズですが味噌のまろやかさとあっさりした揚げ具合で女性でもぺろりとたいらげられるとか!
「とん八」の『味噌とんかつ(1200円)』(写真2枚目)
八丁味噌と愛知県産味噌をブレンドし4時間煮込んだ味噌だれは、ふくよかな甘みでご飯との相性もばっちり!
■矢場とん 矢場町本店
[TEL]052-252-8810
[住所]名古屋市中区大須3-6-18
[営業時間]11時~21時
[定休日]なし
[アクセス]地下鉄矢場町・上前津駅より徒歩5分
[駐車場]8台
「矢場とん 矢場町本店」の詳細はこちら<br/ >
■とん八
[TEL]052-331-0546
[住所]名古屋市中区千代田3-17-15
[営業時間]11時~14時、17時~20時30分
[定休日]日
[アクセス]JR・地下鉄鶴舞駅より徒歩5分
[駐車場]契約有
「とん八」の詳細はこちら
ひつまぶし

庶民的なB級グルメが多い名古屋めしですが、
貴重なごちそう&おもてなしグルメがひつまぶしです。
うなぎの蒲焼を細かく刻み、おひつに盛ったご飯の上にまぶすことからこの名前に。茶碗によそって1膳目はそのまま、2膳目はのりやネギ、わさびなど薬味をちらし香り豊かに、3膳目はお茶漬けでさらさらと。
一品で3通りの味を楽しめます。
「宴席で大人数に均等に分けられるよう細かく切り分け、飲んだ後の〆にふさわしくお茶漬けにするように。また出前の際に器が割れないよう、丼ではなく木のおひつを使うようになりました」とあつた蓬莱軒の女将・鈴木詔子さん。
タレはこの地域特有のたまりがベース。お茶漬けにしても食べ応えがあるのは、そのこってり感のおかげ。
焼き方は関東風の蒸し焼きとは違い、直火でカリッと。細かく切っても身が崩れません。
独特の食べ方が可能になったのは、名古屋ならではの調理法があったからこそと言えます。

特徴的な〆のお茶漬けは、ダシをかけるのが一般的。対して、煎茶をかけて正真正銘の”お茶漬け”で食べられる店も。
「先代が戦前にひつまぶしを出すようになって以来、ずっとこのやり方です」とは1909年創業の老舗、いば昇。よりさっぱりといただけます。
さて、一品で3度おいしいひつまぶしですが、おひつをしゃもじで十字に切って4等分してから茶碗によそうときれいに取り分けられます。
が、ここでひとつ問題が。最後の4膳目をどの方法で食べるべきか。そのまま?薬味入り?それともお茶漬け?
…どれもおいしくてなかなか決められない、そんな悩ましさもひつまぶしの醍醐味なのです。
★ひつまぶし・オススメのお店★
「あつた蓬莱軒」の『ひつまぶし(3900円)』(写真1枚目)
活うなぎ、秘伝のタレ、備長炭で焼く香ばしさ。確かな素材と職人の技が生む名古屋めしきっての贅沢な味わいです。
「いば昇」の『櫃まぶし(3000円)』(写真2枚目)
最後は煎茶をかける真のお茶漬けで〆る。都心のド真ん中とは思えない老舗らしい風情ある空間とリーズナブルさも魅力です。
■あつた蓬莱軒
[TEL]052-671-8686
[住所]名古屋市熱田区神戸町503
[営業時間]11時30分~LO14時、16時30分~LO20時30分
[定休日]水、第2・4木(祝は営業)
[アクセス]地下鉄伝馬町駅より徒歩7分
[駐車場]40台
「あつた蓬莱軒」の詳細はこちら<br/ >
■いば昇
[TEL]052-951-1166
[住所]名古屋市中区錦3-13-22
[営業時間]11時~LO14時30分、16時~LO20時
[定休日]日、第2・3月
[アクセス]地下鉄栄駅より徒歩3分
[駐車場]なし
「いば昇」の詳細はこちら
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